インチアップとは、クルマのタイヤの外径を変えずに、ホイールを径の大きなものに、タイヤサイズを偏平率の低いものに交換することをいいます。偏平率とは、タイヤの幅をタイヤのサイドウォール(側面)の高さで割った数値をパーセント(%)で表した数値で、偏平率が小さいほど、クルマを横から見た時にゴムの部分が薄くなり、タイヤの幅は広くなります。
インチアップすることにより、ハンドリング性能やコーナリング性能の向上、スタイリッシュになるなどのメリットが得られます。一方で、ホイールと地面の距離が近くなるため、インチアップ前よりも路面の状態が伝わりやすくなり、振動が大きくなったり、静粛性が悪くなったりするデメリットも。しかし、近年はタイヤや車両のテクノロジーの進化によって、これらのデメリットは解消されつつありますので、インチアップをより楽しみやすい時代になっているといえるのではないでしょうか。
インチアップの本来の目的は、ホイールを大きくすることでホイールの内側の空間を確保し、より大きなブレーキを搭載することにありました。ブレーキを大型化することでブレーキ性能を向上させ、よりスポーティーな走りを実現できるからです。また、タイヤの幅が広くなることでグリップ力が増したり、ハンドリングが向上したりするなどのメリットもあり、おもにスポーツタイプのクルマを対象としたチューニングとして行われていました。
しかし、ホイールが大きく目立つ、そのルックスが多くの人に好まれ、ファッション的な目的でインチアップを楽しむ人が増えました。現在、インチアップはスポーツカーオーナーはもちろん、外見のカスタムを楽しむドレスアップカーやラグジュアリーカーのオーナーなど、幅広い人々に楽しまれています。